2018-01-01から1年間の記事一覧

シンデレラ

23時51分を指す時計を見て、ハッと我に帰る。 今日は久々に中学時代の友人と会っていたのですっかり時が経つのを忘れてしまっていたけれど、私の門限は24時で、今すぐ友人宅から出ないと間に合いそうになかった。 「最近門限が24時になってしまったんだよね…

社会の壁

人と会うのが好きな私は、コミュニケーションツールの一つとしてお酒を嗜む。お酒を飲むことで物理的居場所も増えるし、会話も弾む。だから単に騒ぐのではないお酒の使い方は有効だなあと思っている。 この間、人間と話していたら「男と2人きりで飲みに行っ…

克服

あれから1年が経った。 昔は昔で恵まれていたと思っていたのに、振り返れば全く幸せじゃなくて笑ってしまう。今が幸せだから良いとか悪いとか、そういう話とは別だけれど。 少しストレスを得たら痛む胃に加えて、唐突に騒ぎ出す心臓も手に入れてしまって、日…

最悪

「痛い」と思ったら、炬燵の中で折り畳まれている脚が過剰に暖められて火傷になる手前のようだった。自分がここまでぼうっとしていたのは初めてで戸惑ってしまう。慌てて炬燵の電源を切ろうとすると、炬燵の上に置いていたマグカップが傾いて池を作っている…

動悸

授業を受けていたら、不意に心臓が高鳴って苦しかった。今まで動悸で苦しいと云う意味がわからなかったけれど、成る程何もしていないのに疲れることを態々しているみたいだった。 昔、高校生の頃だけれど、机に好きな曲の歌詞を書いたりした。勿論良識がある…

布団に帰りたい

冬は少し寂しい。電気を消して、窓の外が明るくなっているのを、ただぼんやり見ている。本州ではこんなことないのだろう。夜は暗いもの。でも雪が積もってしまうと微かな光を反射して明るくなってしまう。冬の暗い夜を知らない。 この間人と会ったとき、本当…

胃腸薬

カップとソーサーが微妙に合わなくて、はまりもせずにカタカタ音を立てるような気持ち。言葉にしろと言われても出来ない心の騒めきを出来るだけ文字にする。賢くなくていい、伝わればいい。 人と話すほどに解像度は低下して形は無くなっていく。私が言いたい…

精製

夜は1人でこっそり網を編む。毎日毎日少しずつ細かく細かく編み込んでいく。見たところもう網目は見えていないのだけれど、極僅かな隙間からポタリポタリと雫が滴る。滴ったものは「これが無色透明である」と胸を張れるくらいで、日に日に純度を高めている。…

メメント・モリミ

わたしが彼と出会ったのは小学5年生の春だったかそのくらい。初めて大人の読む文庫本に手を伸ばした。(今思えばほんとうの初めてはサン=テグジュペリの星の王子さまだった) 中村佑介の描く可愛らしい女の子の横顔に惹かれて、という方が強いだろう。その時…

今日を生きる

月曜へと向かう電車の中で、ふと「私は死ぬまであと何回恋をするのだろう」と思った。私の中では何人に恋をするかというよりも、何回ときめきを得られるかの方が気になるようだった。 こういう考えをするきっかけとなったのは伊坂幸太郎の「アイネクライネナ…

この間「取り敢えず一通りブログを読んだ」と言われました。 誠実な人だから、私の横にいる以上は知っておきたいと思ったのかもしれない。面白いことを書いたつもりもないし、憂鬱とか一時的な躁とかが書かれているから少し恥ずかしいと思います。でも理解し…

地球の裏側まで

昨日ピアスホールを増やした。思っていたよりも痛くなくて、こんなもんかと思ってしまった。人が耳を触るたびに多少の痛さがあるけれど、その程度の痛みだった。 これで5つ。 最初に穴を開けた時も私は恋をしていて、なんらかの形で残そうとした結果だった。…

喉の痛み

肌寒くなってきた季節に少し着込んで乗り込んだJRは少し暑くて気持ち悪くて、おでこに髪が張り付く感じがした。 1人に依存するのが怖い。 ただ1人を決めると、いざ見捨てられた時に凄く気持ち悪くなるのだろうと思う。 ふと浪人時代を思い出すことがあった。…

実像と虚像

今日唐突に憂鬱がきた。 実は前日から怪しかったのだけど、やっぱりきてしまった。テキパキ動けば授業に間に合ったのに放棄してしまった。 あーもう無理!と割り切ったら楽なのに、根が真面目だから「この程度のタスクも出来ないなんて」と落ち込む。だから…

煙草は健康を脅かす

今が幸せだと昔が悲しくて惨めで薄命だと決定付けてしまうようで嫌だ。 だから何か私はささくれだって幸せを素直に享受できない。幸せそうに笑う自分の顔が気持ち悪い。 沢山の私をカメラの向こう側に送りこむけれど、どれも全部わたしじゃない気がした。気…

昔の男

何も考えずに幸せを背負って阿呆面で歩いていたら、もう死んでいると思っていたかつての恋人が店先に立っている気がした。 そこが彼の職場で、もしかしたら今でも働いているかもしれないことはずっと思っていて、ただ今の今まで彼の働いている姿を見ることが…

羨望

単語を聞いて思い出すのは白い蛍光灯で、私は何を思うわけでもなく人形になっていて、どうしてこうなったかもわからなかったしひたすら自分のせいにしていた。 よく考えれば相手があまりにも強引に物事を進めていたのが悪いし、私にも断る権利があったし、回…

征服

学校が始まったら私は基本3、4時間程しか眠れなくて、今日も3時間程しか眠れない予定だったのに過剰に寝てしまって自分にがっかりした。 寿命を削ってまでキリキリ動くことが出来ないみたいだった。薄い布団の上で身体はちょっと軋んでいて、毛布の中で重力…

川の中の石ころ

去年の4月からずっと、通学中に通る小さな2つの川の流れを観察するのが習慣になっている。 雨の日の増水具合だとか、冬の表面の凍り具合、透明度、そんなものを毎日観察している。目的があるわけでもないし記録はしていない。 川は好き。 特に理由があるわけ…

不健康

10月に入って新学期が始まった。 何かやっぱり私は不安定で、どうしてもダメだった。勉強はしたいのに、人と比べて悲しく思ったりすることが多くて辛くなってしまう。 ついさっきまで今日はゼミの日だなあと思って、ゼミで読んでいる論文を見返していたのに…

寒さに負けるな2

あっという間に10月で、時の流れが早すぎて閉口する。私はもう子供じゃないのだなあと思う反面、大人でもないよなと思う。 夏休みは如何過ごしましたか? 終わり良ければ全て良しなんて言うけど、本当にそうでしょうか。どうでしょう。 一時的な幸せは自分を…

寒さに負けるな

夏が終わりを告げようとしている。陽が傾くと肌寒い風が僕を包む。 駅から家まで歩いて20分。普段は音楽を聴いたりしながら歩くのだけど、今日はどうも音楽といった気分では無かった。 音楽は聴き始めた最初は人間を感じるのだけど、所詮録音された楽曲なの…

平成最後のさいごの夏

北海道はもう秋が先回りしてきたみたいに涼しくて、「平成最後の夏」と呼ばれるものも8月という暦で最後なのかなと思った。 今日は平成最後の夏を締めよう!という彼の誘いにのって、夜日付を跨ぐかという時間に店前に突っ立っている。 「私、食べ物のために…

結膜炎

起きて、昨日入れなかったお風呂に入って、暖かくなった身体を朝の冷えた空気で冷まして、化粧水をバシャバシャと顔に入れて、今日もあまり肌の調子は良くないななんて鏡と見つめ合う。 今朝はお風呂に入ったから時間がなかった。 飲みかけのコーヒー牛乳を…

ペンギンとわたし

私がこの話を読んだ時はまだ未成年。所謂子供だった。 けれどこの話を見た時はもう成人していて、大人と自称する場面も多くなった。それがとても悲しくて、遣る瀬無かった。 大きなスクリーンの中でペンギンがふいふいと動く様は、数年前に私が頭の中で描い…

僕の神様

神様に祈ることを続けて10年ほどが経った。 神様といっても僕は無宗教だし固定の神様みたいな何かに拝む趣味もなかった。神社に行ったら賽銭を投げてお参りはするけれどそれは形だけで、こんな形で神様に通じるとは思わなかった。 僕は子供みたいで恥ずかし…

夜になると考えること

誰も私なんか好きじゃ無いくせに。 虚空にポツンと言葉だけが残る。 さっきまで私の上で必死に腰を振っていた彼もお疲れで、深い眠りについていたようだった。規則的な寝息が私の肌を擽る。首元に付けられた消えない内出血。夏の蒸し暑い中でも私の存在を感…

ヌラヌラした夏だね

溶けるような暑さ。 比喩じゃなくて本当に溶けてしまいそうだと思う。表皮にふつふつと汗が湧き出て、自分の輪郭がぬらぬらして曖昧になる。 そりゃ汗で塗れるのは快適とは言えないけれど、以前よりは不快に感じなくなった。 経験を積んでこんなものだと納得…

黴とわたし

ずっとベッドで横になっていると、私が腐ってシーツに私だったものが張り付いて、カビになって菌となって、部屋中が私となった気になる。 トイレに行く時にやっとベッドを離れて、でもまたベッドに戻ってくる。熱気が残ったマットレスはやっぱり私だった。 …

雨とローファー

雨の中を歩くのは好きで、ポツポツと雨が傘を叩く音を聴くのは、誰とも交わらなくても許されるようで安心した。 雨が降ればみんな傘の中に引きこもる。 どんなに仲が良くても、傘と傘との間には埋めがたい隙間がある。ハリネズミのジレンマならぬ、傘のジレ…