2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

僕の神様

神様に祈ることを続けて10年ほどが経った。 神様といっても僕は無宗教だし固定の神様みたいな何かに拝む趣味もなかった。神社に行ったら賽銭を投げてお参りはするけれどそれは形だけで、こんな形で神様に通じるとは思わなかった。 僕は子供みたいで恥ずかし…

夜になると考えること

誰も私なんか好きじゃ無いくせに。 虚空にポツンと言葉だけが残る。 さっきまで私の上で必死に腰を振っていた彼もお疲れで、深い眠りについていたようだった。規則的な寝息が私の肌を擽る。首元に付けられた消えない内出血。夏の蒸し暑い中でも私の存在を感…

ヌラヌラした夏だね

溶けるような暑さ。 比喩じゃなくて本当に溶けてしまいそうだと思う。表皮にふつふつと汗が湧き出て、自分の輪郭がぬらぬらして曖昧になる。 そりゃ汗で塗れるのは快適とは言えないけれど、以前よりは不快に感じなくなった。 経験を積んでこんなものだと納得…

黴とわたし

ずっとベッドで横になっていると、私が腐ってシーツに私だったものが張り付いて、カビになって菌となって、部屋中が私となった気になる。 トイレに行く時にやっとベッドを離れて、でもまたベッドに戻ってくる。熱気が残ったマットレスはやっぱり私だった。 …

雨とローファー

雨の中を歩くのは好きで、ポツポツと雨が傘を叩く音を聴くのは、誰とも交わらなくても許されるようで安心した。 雨が降ればみんな傘の中に引きこもる。 どんなに仲が良くても、傘と傘との間には埋めがたい隙間がある。ハリネズミのジレンマならぬ、傘のジレ…

なにもないこと

電車にゆらゆら揺られて今日もまた今日を繰り返す。目を閉じたらいつのまにか時が経ってしまうのだから、眠くても必死に車窓に齧り付く。目的地に着いたからといって何かあるわけでもないのだけど。 この間まで雨が酷くて、大学までの道のりにある小さな川が…