黴とわたし

ずっとベッドで横になっていると、私が腐ってシーツに私だったものが張り付いて、カビになって菌となって、部屋中が私となった気になる。

トイレに行く時にやっとベッドを離れて、でもまたベッドに戻ってくる。熱気が残ったマットレスはやっぱり私だった。

ずっと家の中にいたら、窓を開けなくても暑いとか空気が篭ってるとか感じにくい。人間としての感覚が鈍くなっていく。

私がこうして腐ってるあいだに、みんなは文化的活動をして今日も社会に参加している。

 

テストだってあったしゼミだってあったのに、何も連絡しないで放り捨ててしまった。

 

私が望むことを容易くやってしまって、だけどそれが失敗した時に嬉しく思った私が気持ち悪かった。

吐ける気はしないけど吐きそうだった。

連絡をくれた友人が優しいと思った。元気がないからまだ返せなくて悲しい。

 

社会に出ても生きていけるか不安だ。早く家を出たい。

私が気分が悪いと決まって母も気分を悪そうにする。私は元気なふりをするしかない。いやだなあ。

私には何も価値はないから、全て全部消してしまいたい。机の上に積まれた参考書。結局身に付いたのは何分の1だろう成績というのが凄く苦手だ。

 

眠ると親に打たれる夢を見る。実際にされたことはないけれど。汗がワッと出る。寝たくない。

3回に1回くらいは、好きな人の夢を見る。この間は元彼が出てきた。心の何処かで憎めないなあと思っている。

憧れている人に、人を簡単に呪っちゃいけないと言われた。私は呪うのをやめた。憧れている人と付き合えれば幸せになれるんだろうけど、彼は恋愛に興味がなさそうだし、下手に侵犯するよりはずっと友達でいたいと思った。そうやっていつも好機を逃す。

 

絵を描いていると「そのモチーフはなに」と尋ねられる。宗教画っぽいものを描きたかったのでその真似事だと答える。

私が彼女に同じことを問うと、「なんてことはない、いつも考えてることとか浮かんだことを絵にしただけだ」という。

私が文章を書くように彼女は絵を描く。みんながみんな、そういう病気なのだと思う。

 

文章を人に送ったら感想が返ってきた。

○○監督に映像化してもらいたいとおもう、と言葉が添えられていた。人はそれを褒め言葉として使っているのだろうけど、わたしにはあまり嬉しくなかった。

 

人の噂とかそういったものが怖くて、今日もまた宙に浮かぶような気になる。

ドラえもんは3mmだったか3cmだったか浮いているらしい。