哀れとは

 

※映画「哀れなるものたち」の感想です。ネタバレ要素を含むので見たくない人は注意してください。

 

私が憧れるかっこかわいいお姉さんがストーリーでこの映画の試写会に行ったというのがきっかけで、わたしも見てみたいなと思った。

「感動」、「全世界が泣いた」、「奇跡の物語」と謳われるような映画は脅迫めいた押し付けを感じるから進んでみようとは思えないし、アベンジャーズとかジブリとか多くの人が一般教養かのように話すような作品は普通に馴染めないと落ち込むので敢えて避けてしまうところがある。以前好意を抱いて、相手からも好意を抱かれていた人に誘われて少女漫画原作の映画を見に行ったことがあるけど、話の内容よりも尿意に襲われて初めて上映中に離席したことを強く記憶している。

そんな難儀な性格の私が見ても許されそうだと思うのが、こういう薄暗い内容の作品。サブカル趣味と言われると非常に嫌な気持ちになるけれど、普通の(明るく健常に生きている)人は見なさそうなものが好きというのは事実だと思う。

 

「哀れなるものたち」の良いところは主人公・ベラの眉毛が凛々しいところ。わたしは眉毛に人並みならぬ情熱をかける人間なので、こういった意志ある眉毛は、女性の強さが目に見えて良い。いつか大学の講義の中で「不況なときは女性がなんとかせねばと踏ん張り我を出していくから太眉が流行する」というような話をしていたような気がする。わたしの目論見通り、ベラは風に吹かれず雨にも負けない人間性で自分の正義を持っているひとだった。

育ての親であるゴッド博士は親に実験体として育てられ、親と同様に娘であるベラを実験体として見ていた。それでも親とは違って情が湧いて、ベラの反抗に対して最終的には受け入れの姿勢をとった。

ベラの母親は夫の支配から心を病んでベラを愛することすら叶わず命を絶ったけれど、ベラは母親とは違って誰に支配されることもなく自分で選択して道を切り拓いた。

血の繋がりは消えはしないけれど、人間を形成するのは後天的なものが大きいのかもしれない。人は何かしら貧しいところや欠点があって哀れなるものかもしれないけれど、そうであったとしても、自分を上向かせるのは自分自身なんだ。

そう思わせてくれる作品だった。

 

内容はもちろんだけれど、衣装や世界観も可愛くて、隅々まで見惚れちゃった。

ベラの服がパフスリーブで統一されていたのも良かったし、他の女性たちは伝統的なドレスを着ているのにベラだけシースルーでちょっとヘンテコな衣装だったりするのも面白かった。

思ったことバーーーーーって書いたから支離滅裂だけど、配信開始されたらまたみたいなと思う作品でした!