布団に帰りたい

冬は少し寂しい。電気を消して、窓の外が明るくなっているのを、ただぼんやり見ている。本州ではこんなことないのだろう。夜は暗いもの。でも雪が積もってしまうと微かな光を反射して明るくなってしまう。冬の暗い夜を知らない。

 

この間人と会ったとき、本当にダメで、道行く人を見ながらポロポロ涙を零していた。何が悲しいわけでもないのに、一度溢れた水は収まりきらなかった。

隣に人がいたので、気づかれないようにそっと目元を抑えた。ファンデーションが崩れたりよれたりしてバレてしまう気はしていたけれど、そこはもうしょうがなかった。

人に嫌われてもいいくらいには感情の高ぶりが抑えられなくて閉口していたのに、隣にいる人間はそんなわたしを見て見ぬ振りしていた。正解だな。この人には敵わない。

 

本当はこの憂鬱の原因を知っている。羨望。

最近わたしの傍にいる人間は自分のやりたいことが明確で、尚且つ目標に向かって日々精進していて、ただ夢を語るだけのわたしとは恐ろしいほど違うから、それで苦しくなっている。相手は微塵も気にしていないだろうけど、だからこそ悲しい。

わたしが誇れるものは何だろう?と考えると何もなくて困ってしまう。

 

どうせやるなら面白いことを、と思って大きく方向転換してはみたものの、みんながみんな「ずっと描いてきました」というような人間で困ってしまった。わたしには続ける能力がない。

それなのにそういう世界に足を踏み入れて関わって、キャパオーバーになってダメになる。多分これを数回は繰り返している気がする。

勉強は好きだけれど、おそらくわたしが思う勉強は上澄みみたいなところだけなんだろう。そうしたらいよいよ何も残らなくて笑ってしまう。

 

何も考えられない。ただひたすら悲しいと思ったり苦しいと思ったりしている。お腹が空いたと思ったら胃が痛んでそれどころじゃなかったりする。困ってしまう。

 

どうすればいいんだろう。よくわからなくて困る。何も考えられない。本を読んだり、勉強をするのも、学校に行くのも難しくて、人と会うのすらなかなか苦労している。でも未だに病院に行けない。ふらっと行ってふらっと診察出来ればいいのに。

 

そういえば昔恋人と見た映画が、だいぶ有名なもので絶対面白いはずなのに、わたしには至極退屈に思えてしまって困ったことがあった。恋人は満足そうに語っていたので面白かったのだと思う。こうやって世界から切り離されていくのだと感じて、ぞっとした。