あの時のまま

 

音楽の素晴らしいところは、自分の思い出と結びつきやすいところにあると思う。

 

中学校では吹奏楽部に所属し週6、週7くらいの勢いでクラリネットを吹いていた。大学に入ってからは芸術学を専攻した。わたしの人生は大方芸術で括られているようだと24年間生きて思う。

美術にしても音楽にしても、上澄みを舐めている程度の知識しかないと思うけれど、そういったものに興味がない人よりは基礎知識があるのかなとも思ったりする。自分から進んで詳しいです!とは語りたくない。そこまで芸術に関して博識でないので。

 

前述した音楽のすばらしさについて思ったのは、今まさに卒論の作業を少しずつ進めていて、その作業の際に耳が寂しく感じ音楽を聴くようになったからである。今まではFPの資格勉強を行っていたので、細心の注意を払う上で音楽は邪魔なものだったのだけど、今行っている作業はとりあえずまとめてみる→訂正→情報を付け足す→訂正という繰り返しなので少し余裕がある。あんまり難しく考えると文字が1つも書けなかったりするので、丁度良い妨害である。

そんな感じで音楽を聴いているのだけれど、私は基本気に入ったアーティストをリピート再生で延々聴いている。

人によっては入っている音楽すべてシャッフルで聞いているのか、プレイリストを作っているのか、様々なアーティストを混ぜ込みながら聴いているようだけれど、私はそれが出来ない。大森靖子が聴きたいときもあるし、MAN WITH A MISSIONが聴きたいときもあるし、FINLANDSが聴きたいときもあるし、ビリーアイリッシュが聴きたいときもある。すべてのアーティストが統一したテーマの上にいないので混ぜるのは好ましくない。

 

音楽を聴いていると自分がその当時何をしていたか(失恋をしたとか、受験勉強で死んでいたとか、よく旅行していたとか、就職活動をしていたとか)を思い出すから、例えば作業したいのに失恋したときによく聴いていたアーティストを聴くと沈んでしまうし、バスの中で少しうとうとしているのに就職活動のときによく聴いてたアーティストを聴くとなんかドキドキして緊張してしまう。

タイミングが合えばその昔を振り返って俗に言うエモいといった気持ちになれるのだけれど、あまりやりすぎるとセンチメンタルになりすぎるので良くない。

 

今はMAN WITH A MISSIONを聴いているのだけれど、私が彼らを好んで聴きライブにまで足を運んでいた時代は8年ほど前になるので時の流れは恐ろしいなと実感する。

音楽によって結晶化された思い出は、再生されるたびにあの時のまま輝いてくれるから、切ないし、有難いと思える。