嫌いな男と夜

元彼を極端に嫌う人間ではないけれど、今も好きな元彼と今は大嫌いな元彼がいるのは仕方ないのかなと思う。

根は博愛主義なのでできれば恨み言は言いたくないけれど、大嫌いにさせる元彼が悪い!と言いたくなる。ヒヨコこと私の初めてを奪った元彼のことすら悪い人だとは思い切れないのに、微妙に丸わかりな二股をしていた元彼は心の底から憎い。

あいつの記憶にわたしはもう居ないんだろうな。何故なら頭の容量がなさ過ぎるだろうから。馬鹿な人間が1番嫌いだし、無駄打ちした気分になる。彼は同じく蓮葉みたいな女とよろしくやってるみたいで、楽しそうだなあと思う。(わたしはそうはなりたくない)

 

根本的にわたしのことを好きじゃない人間が好きなのかもしれない。今でもスーパーライクな元彼/好きだった人はわたしのことを1mmも見ていなかった。告白していないのに振られることもあったし、だからこそその熱が今もわずかに残っている。

正直やり捨てみたいなこともされたけれど、その彼は「自分は浮ついてないよ」と一貫していて、わたしの前では優しい言葉を並べてくれたからひとつも恨んでない。わたしがすっかり落ち着いてしまったので恋愛には発展しないけれども未だに好き。

 

好きだと言ってきたわりに直ぐに気持ちが冷めちゃう男も嫌い。我が儘なので「ずっと憧れはある」というようなフォルダにわたしを保存しておいて欲しい。そうじゃないなら突飛な好意は塵も同然。セックスしたい、みたいな浅はかな気持ちと同じで、自尊心が抉られる。

最近はずっとわたしのことを好いてくれる人がいるからか、浅はかな性的欲求からくる下心を過敏に受け取って嫌悪感を抱けるようになった。女としてしっかり防衛する力を得られるようになった。

 

いま思えばあの頃の性行為は自傷行為に近かったなと思う。

わたしは精神が弱いけれど手首はまっさらで綺麗だし、酒や薬を過剰摂取することもなかった。逃げ場が性行為だったと思う。

 

無駄打ちした分だけ自分の局部が憎らしくなる。男性器の代わりに刃物を入れる妄想をして怒りを鎮めることが多々あった。コミュニケーションとして楽しく事を済ませたこともあるけれど、熱に浮かされて好意を口にされたときは本当に死にたくなっていた。

 

今の恋人に出会って初めて、わたしの様子をみて相手が途中で行為を中断することがあったような気がする。

それまで愛を知らなかったからかもしれないけれど、優しさを初めて知ったような気になって涙が止まらなかった。

搾取じゃない性行為もあるのだと知った。