似合わないもの

 

小学生の頃は土曜の7時くらい(記憶違いかもしれない)からやっているズムサタの原宿特集をよくみていた。

それこそきゃりーぱみゅぱみゅとかロリータファッションとかそういうものを可愛くフォーカスしていた。

 

わたし自身はそんなにお姫様みたいに育てられたわけでもなく、メゾピアノとかポンポネットとか着るような友人を横目にイオンで買ったよくわからないブランドでもないような服を着ていた。強いて言えば医者である父を持つ従姉妹からのお下がりで流れ流れて4代目くらいの少しくたびれたブランドものを身につけるくらい。それを悲しくも思っていなかったし、今までかけられていなかった金を使ってまで可愛くなりたいとも思っていなかった。

そんな感じであまりファッションに興味はなかったんだけれど、その番組は異様にわたしを惹きつけた。わたしはきっとオシャレに興味がなかったのではなくオシャレと遭遇していなかったのだ。

 

その番組内ではゴスロリとか黒ロリとか、一般人じゃ見分けのつかない種類のものをわかりやすく解説したりしていて、すごく勉強になっていた。一見すると同じような服装をしていても、一人ひとりコンセプトがあるらしい。綺麗なシルエットのドレスにパニエが仕込まれているのもこの時初めて知った。

普通の場所だとこういう格好をしている人は敬遠されるけれど、原宿ではみんながみんなこういう格好なのか!と感銘を受けたりもしていた。中学校の修学旅行まで北海道外に出たことがなかったのでその当時原宿にロリータが蔓延っていたか否かは定かではないけれど。

 

わたしはお姫様というよりもバレリーナに憧れていた。

幼稚園時代の友人がバレエを習っているらしいことを聞いて憧れたのがきっかけだけれど、バレリーナとはどんなものなのか、どんな曲でどんな風に踊るのかは至極曖昧だった。知識として知ってはいるけれど実際見たこともなかった。絞り出すなら「明日のナージャ」というアニメの主人公が踊り子だったので、そのイメージに近い。どのみち曖昧。

 

ロリータファッションに憧れたのはパニエがあったからなのかもしれない。優雅で、形式ばっていて、難しそうなのが良かったのかもしれない。2つに共通するものはないのかもしれないけれど、どちらもわたしを惹きつける。

 

バレエもロリータファッションも、わたしは今まで23年間触れることがなかった。遠くから眺めて憧れるくらいが良いのかもしれないと思ってしまっている。

挑戦するには年老いたと感じることが出てきて、自分が如何につまらない人間かが透けて見えてしまっているような気がする。

 

特にロリータファッションなんかはお金を使えばすぐ実現できるものなのに、「似合わないかも」「イタいかなあ」とありもしない第三者の目を気にしてしまう。

そんなことを言っているから、わたしは一生フリルが似合わないし鏡の前で踊るなんてこともないんだろう。