トイレ

なにも悪いことをしてきたつもりはないけど、1つひとつバラバラほどけていく。

何か悲しいことがあって俯いているのを他人に辛気臭いと注意され意識して笑顔でいると偶々お通夜をしているほかの他人に不謹慎だと怒られるみたいに、世の中には上手くいかないことが多い。

 

私も普通でいたいし普通でありたい。普通でいられたらどんなに幸せかと思っている。

自分がどういうキャラクターなのかとか、場の雰囲気とか空気とか、過剰に読んだりせずともなじめるような人間であればどれだけ良かったか。

例え話で「私は昔から優等生キャラでいじられたりなんかがひとつも無くて、Aのことでいじられている子をフォローしようと(もしくは自分自身も許されようと)私もAだと言うと、決まってゆいちゃんはAでも良いんだよとこじつけられる」という話をしていた。私は初めから出来ない人間だとか抜けている人間に憧れていた。できなくても許される人間性に憧れていたのかもしれない。そのことをひとに話したら「そもそも私も〜なんて言う人間はいじられない」と一蹴されてしまった。その気持ちは凄くよくわかった。

私の中の幼い自分が、掌に跡が付くくらい爪を皮膚に押し当て繕って笑う姿が見える。その頃から救えなかったんだと落胆してしまった。

 

私はわたしを守るために真面目じゃなくオカシイ人物像を作り上げようとした。自分でもまあまあ上手くできたんじゃないかと思っている。出来なくても許されて、いい加減で、不真面目な自分。

それが出来上がると、それはそれで問題があった。何に対しても「お前は〜だから」と異常者な目で見られる。ある程度は笑って流せるけれど、少し時間をおいて反芻したらじんわりと胸の部分が冷たくなる。貴方に貶されるほど何も考えてないわけじゃない。結局わたしは上手くやっていけなかった。

 

どちらも丁度いいところでやめることができたらいいのに、変に律儀に自分を作ってしまう。完璧なら完璧に、不完全なら不完全に。一生叶いっこないし、途中で自分自身が折れてしまうから苦しい。道化師になれない。

 

私がいっぱいいっぱいになって寝るしか出来なくなったり、泣くしか出来なかったりすると、決まって誰かが小言を言ったり自分のせいかと項垂れたりする。

精一杯でこれだし、誰も悪くないし、寧ろわたしが悪い。こういうことを言う気力もない。ただ笑顔でやり通すか、知らないふりをするしかない。

 

苦しくて苦しくて、お酒をいっぱい飲んだ時みたいに簡単にトイレに吐けたらいいのにと常々思う。