不幸とは言い難い

この間やっと母親に留年が決定したことを話した。話したというか、直接話すと泣きそうでうまく伝えられないと思ったので、LINEを使って「来年度分の学費は出世払いします」というようなことを送った。

わたしが3月というギリギリな時期に話したのは、秋頃に弟が留年することを母に話していた(遠方に住んでいるので私同様LINEを使って伝えたらしい)からだった。弟が留年した時に母から「あんたは大丈夫だよね!?」と数回ほど念を押され、曖昧な返事をすることしかできなかった。流石にタイミングがタイミングすぎた。

 

年齢が2つ下の弟は地方国立大学に現役で進学した。最初の半年くらいは学校の寮で生活していたものの苦労が多かったらしく一人暮らしをするようになった。中高を通してあまり友人はいないイメージだったので、そんな状況での一人暮らしは過酷そうだというイメージはあった。浪人と留年の経験があった私からするとここまで真っ直ぐ模範的に生きていけたのはすごいなあと思う。不器用だけど、実は普通にできる人間だなあと。

 

わたしたちが留年する上で良かったことは、①世界がコロナで混乱している、②父が亡くなった、ということだと思う。非常に不謹慎だけれど。

 

①については金銭的な意味でも精神的な意味でも苦しい中で生きている人が多いので、その中の1人だと考えれば「極めて虚弱な人間だ」というような印象はそこまで受けにくいだろうということ。あとは多くを語るのが面倒な状況において「コロナの影響で〜」と語れるのは物凄く楽だ。本当にコロナでシビアな状況になっている方には申し訳ないけれど、少し救われている。

②については、父は子供である私たちが躓くと決まってモラハラのような言動をするからである。これについては私が火種かもしれないけれど、わたしの浪人が決定してからというもの父は私のやること成すこと全てにケチをつけ人格まで否定してきた。(故人ではあるけれどされたことを美化したりはできないなあ)弟についてもセンター試験の点数を考えて現在の大学を選び合格したにも関わらず「後期試験は出願していた北大を受けろ」と言って北大に行かせた。(前期合格している場合蹴らないと後期受験はできませんとわざわざ現地に行って聞いて帰ってきた健気な弟…)そんな風だったので我々が留年したなんて知ったらどうなっていたことか。お母さんは基本的に怒ったりはしないし「大学だけは行ったほうがいい」という父の言葉を受け継いで学費だけは捻出してくれそうだったので、実際わたしにとっては都合のいい世界だった。弟が何を考えているかはわからないけれど。

 

決してイージーモードとはいえない世界だとは思うけれど最悪ではないなあなんてぼんやり考えている。わたしは理解のある彼くん擬きもいるし、家で肩身が狭いなんていうことも無くなったし、同じラインに立って嫌でも比較してしまうような同期も居なくなった。最悪なんかでは、無いんだよなあ。

 

ただ「わたしも留年した✌︎」なんてふざけた雰囲気で送った弟へのメッセージが、1日経った今も未読のままなのが悲しい。