無定形

 

 

昨日の夜中にいきなり好きだった人からの「いいね」が来た。

 

相手のことを恋い慕っていたのは、確か去年の今頃だった。突発的というわけでもなくジワジワ侵食されたのだ、とは弁解しておく。そこまでチョロくはない。

彼は【個人情報なので自粛します】大学の4年生で【個人情報なので自粛します】を勉強している。【個人情報なので自粛します】部に入っていて、文武両道で、私なんかじゃとても敵わないと思う。彼を知ったのは私のよく使う【個人情報なので自粛します】というsns上で、確か【個人情報なので自粛します】さんや【個人情報なので自粛します】さんとよく絡んでいたからフォローした気がする。あまり【個人情報なので自粛します】を多用すると読みにくいしそれなら書くなと仰る方がいるのであれば、こんな個人的な肥溜めを覗いたのが悪いのよと言ってあげたい。

あまり大きな声では言えないけれど、私はインターネットを通じて知り合った人でも魅力的な人であればいとも簡単に恋に落ちてしまえるし、偏見がないというか節操が無いのだ。

 

恋の終わりは多分私の至らなさなのだけど、これについては私ばかり責めていられないので仕方なかったのだと言いたい。

ここ1年でグルリと自分の内面も変わってしまって、私のせいが本当の本当に私のせいなのか、果たして私とは誰なのかといった気持ちになるからダメだ。クリームソーダの中に落ちてしまったサクランボくらいにはダメ。

 

私が未だこんなに相手を引きずりまくっているのは、相手があまりにも魅力的であることのほかに、恋を綺麗に終わらせ過ぎたというのも重大な要因であると思う。

 

終わるも何も始まってすらいなかったのだけど、だからこそ明確な終わりがほしくて、冷めきっているのはわかっているのに電話をかけた。春の、小雨が降っている日だった。

1ヶ月以上ほぼ話していなかったのに、そんなぎこちない期間が無かったかのように映画の話とか大学の話をして、これで本当に終わるのかと思えない自分もいた。私はいつもと同じように帰り道に歩きながら電話をしていて、丁度私の大好きな、地元では珍しい少し高めのマンションがそびえている通りに差し掛かったところだった。

あの時も結局は拒否されるのが怖くて「もうわかっているから、私が何を言っても有難うって受け止めて終わってくれていいからね」と言っていた気がする。

そのあとは、自分でもなんて言ったか忘れてしまった。

 

ただ最後に彼が「京都来た時暇だったら全然会うよ」とお世辞でも言ってくれたのだけ覚えている。

私にとってはいい思い出。

 

そのあと色々あったりしたけれど、またこうして私を見ている印を残してくれるのは、何というか、ずるいなあ。

私はきっと一生こんなよくわからない甘い呪縛に囚われているんだろうと思う。

10代最後の恋というとなんだかお高く気取ってるようで泡立つ気持ちになるけれど、私にとってはこれが、